日本全国にはその土地固有の伝統的な文化が多数存在している。しかし、その地域内での過疎化・少子高齢化・後継者不足などの問題によって消失の危機に晒されているものも少なくない。生活様式・産業・歴史と密接に結び付いている伝統文化は、まさにその地域の特性を如実に物語るものであり、無形の風景と表現することもできるだろう。そして、そのような固有の地域文化は後の世代へと継承されるべきである。
このような背景から、建築単体を対象にするのではなく、祭礼・行事などの無形の伝統的な地域文化に焦点を当て、背後にある固有の地域性を明らかにすることが本研究会の主な目的である。今年度は特に祭礼の中心として指摘される「神輿」を研究の端緒として、祭礼・行事やそれを取り巻く地域の動態について考察する。