●研究背景及び目的
古建築の解明において、建築計画から施工の流れを一貫して解明することは建築と社会背景、両者のより深い理解に繋がると考える。その解明方法の一つとして、工程表の作成が挙げられる。工程表を復原することで、当時の施工手順の解明と同時に、材料の調達経路、木材加工技術の解明、建築技法の解明に繋がり、古代における建築生産の社会的役割を見いだすことができる。
これらの前提を考慮し現存史料などから検討した結果、天平宝字期の石山寺を研究対象とすることとした。本研究では、石山寺復元および造石山寺所を中心とした生産組織体制の解明を工程表の作成を通して行うことを目的とする。