文献ゼミ

建築史系研究室においては多くのゼミ活動が行われていますが,中でも週一回,教授以下,助手,大学院の学生などが一同に集まって行う「文献ゼミ」は研究室活動の目玉の一つです。このゼミは主に日本もしくはアジアの古典建築技術書を読解することから,このような名前がついています(正式には大学院の授業「建築史演習」の一環として行われています)。基本的に学生が各自で分担研究し,それを発表,ディスカッション,講評することによって進められており,これらの作業を通して,建築史研究の方法論の基礎を習得することを目指しています。

文献ゼミは江戸時代のくずし字で記述された古文書を読解することが多いため,初学者には大変な作業となってしまいます。そこで,例年「プレ文献ゼミ」と呼ばれる教育ゼミが4月半ばから5月末まで約1ヶ月半の間行われており,プレゼミに初めて臨む修士1年生を先輩の大学院生が一緒にゼミを行いながら指導しています。プレゼミでは毎年同じ文献(『新編拾遺大工規矩尺集』,『匠明』,中川武『木割の研究』)を読解していますが,週2回でみっちりと鍛えられるため,例年プレゼミの時期は研究室に泊まり込みの学生が増えてしまいます。

このプレゼミが終わり6月になると本ゼミが始まります。本ゼミでは毎年異なる文献または項目を読解しています。ゼミは夏休みを挟んで10月末頃まで行われます。

この文献ゼミは本研究室がもともと日本建築の研究を主として行ってきたことによるのですが,近年大学院の学生が増加し,各々の研究対象が拡散している状況においては,共同で研究を行う数少ない場となっています。